目次

Quantum Development Kitのインストール

目標

このページの目標は、Quantum Development Kit(以下 QDK)のインストールと、サンプルコードを実行することなります。なお、本ページは次のドキュメント(英語)を参考に解説などをくわえながら構成しています。
Setting up the Q# development environment | Microsoft Docs

準備

QDKを利用するためには、次の環境やソフトウェアが必要です。

  1. Advance Vector Extensions (AVX)対応 CPU
  2. 64-bit Windows
  3. Visual Studio 2017

 一つ目のAVXは、Intel製のCPUで用いられる並列処理のための仕組みです。2011年以降に出荷されたSandy Bridge以降のIntel製のCPUに搭載されています。もしもお使いのPCが比較的新しく作られたものなら、この点はクリアしている可能性が高いです。
 なお、現在QDKの開発チームではAVX対応以前のIntel製CPUについても評価しているらしく、今後対応するCPUが増える可能性はあります。

 ‎二つ目の64-bit Windows については、QDKの量子コンピューターシミュレーターを動かすために必要です。お使いのWindowsが32bitか64bitかを確認する方法は、次のMicrosoftサポートページでわかりやすく説明されています。
自分のパソコンが 32 ビット版か 64 ビット版かを確認したい | Microsoft サポート

 三つ目のVisual Studio 2017は、プログラミングをするための開発環境です。Community版が無料で利用できます。こちらのリンク先から無償ダウンロードをクリックすればインストーラーがダウンロードできます。ダウンロードができたらインストーラーを実行してください。オプションはたくさんありますが、よくわからない場合はそのまま進めてください。
 ただしVisual Studio 2017のインストールの際、「ユニバーサルWindowsプラットフォーム開発」と「.NETデスクトップ開発」という項目には必ずチェックを入れてある状態にしておいてください。
 なお、詳しいインストール方法を知りたい場合は次のリンクを参照してください。
 Visual Studio 2017 のインストール | Microsoft Docs

 ここまでの条件を満たせるとQDKが利用できます。

QDKをインストールする

 QDKのインストール方法を解説します。ここから先はVisual Studio 2017がインストールされていないとできないので、先にそちらのインストールを終えてください。

QDKのインストーラーのダウンロード

 QDKのインストーラーをダウンロードします。まず、QDKのWebサイト Quantum Development Kit にアクセスし、Download nowをクリックします。すると画像のような登録ページが出てくるのでここから情報を登録します。ここにメールアドレス等を登録することで最新情報などが送られてくるようになるのですが、ただインストーラーをダウンロードしたいだけならこの手順はおそらく必要ありません(コミュニティの発展のためにはこの手順も書いておかなきゃかなと思って一応書いてます。興味ある人はぜひ登録してみてください)。

 次のリンクのDownloadからインストーラーがダウンロードできます。まずはこれをダウンロードしましょう。
Microsoft Quantum Development Kit – Visual Studio Marketplace

インストール

 先程ダウンロードしたQsharpVSIX.vsixを実行します。vsixという見慣れない拡張子ですが、これはVisual Studioの拡張機能をインストールするための拡張子です。QDKは、Visual Studio 2017の拡張機能としてインストールされます。

サンプルコードを実行し動くか確認する

 この項目では、インストールしたQDKがあなたの環境で利用可能かを確認するために、サンプルコードのダウンロードと実行を行います。今回は量子テレポーテーションを利用したサンプルコードを実行してみましょう。

サンプルコードのダウンロード

 サンプルコードはGitHubにあります。gitを使える人はgitでcloneしましょう。次のコマンドを実行してください。
git clone https://github.com/Microsoft/Quantum.git

gitがよくわからない人はVisual Studioのチームエクスプローラーを使うか直接GitHubからダウンロードできます。

 チームエクスプローラーを使う場合は、Visual Studioを起動し、[チーム]から[接続の管理]を選びます。

 次に、ローカルGitリポジトリと書かれた場所の下にある[複製]を押し、URLを入力するよう指示が出るので https://github.com/Microsoft/Quantum.git と入力してその下にある[複製]ボタンを押してください。これでダウンロードができます。

 
 直接ダウンロードする場合はGitHubにアクセスして[Clone or download]から[Download ZIP]を選びます。あとはダウンロードしたファイルを適当な場所に展開すればOKです。

サンプルコードの実行

ダウンロードしたファイルの中からQsharpLibraries.slnを開きましょう。

Samples > 0.Introduction とフォルダをたどると TeleportationSample というプロジェクトがあります。これが量子テレポーテーションのサンプルです。

TeleportationSampleを右クリックし、[デバッグ]から[新しいインスタンスを開始]を選ぶと実行できます。あとはコンパイルが終わるまでしばらく待ってください。

 実行するとこんな感じの結果が出ます(TrueとFalseは実行するたびにランダムに変わります)。似たような結果が出ればインストールと実行環境の確認は完了です。お疲れ様でした。サンプルコードの解説などはまたいずれ。